ボアストロークとは?
ボアストロークとは、バイクでもそして車でも使われる言葉です。
エンジンのパーツの比率の事を言い、ボアはシリンダーボアの内径、ストロークはピストンが上下移動するストロークの事を言います。
通常はボアとストロークを1:1や2:1などのように比率で表わし、この比率によって、エンジンの特性が大きく変わります。
・ショートストローク
ストロークがボアよりも短いエンジンの構造であり、低回転は苦手ですが、高回転でパワーを発揮し、レーサータイプなど、スピードの出るバイクで多く使われます。
・ロングストローク
ストロークがボアよりも長いエンジンの構造であり、高回転は苦手で、低回転でパワーを発揮し、ツアラーなどパワーを使うバイクに多く使われます。
・スクエアストローク
ストロークとボアの比率が同じで、ショートストロークとロングストロークの中間の性能です。
ストロークによる性能の違い
ロングストロークは、回転数を上げるのが得意でなく、馬力を上げにくくなっています。
これは人間で例えると、ロングストロークは深呼吸をして、深くまで空気を取り入れるのと似ています。
逆にショートストロークは、浅い呼吸を繰り返すと例えることも出来ます。
つまり深呼吸を素早く何度も行なうというのは、物理的に無理があるので、自然とロングストロークのエンジンは高回転にしにくくなります。
ショートストロークでは、ピストンの動く範囲が少ないので、それだけ高回転にしやすいです。
しかしショートストロークは馬力を上げやすいですが、低速でのトルクは苦手です。
それは、浅い呼吸なので充填効率が悪く、混合気の燃焼効率も悪いからです。
エンジン内部で燃焼させた空気とガソリンの混合気は、エンジンの動力として100%伝わることはなく、30%ほどしか伝わらず、残り70%は熱や排気ガス、摩擦として逃げます。
ショートストロークでは、シリンダー内径が大きく、それだけ熱も伝わりやすく熱として効率が逃げてしまいます。
このために低速トルクを稼ぐのが、どうしても構造的に苦手になります。
ちなみに、この燃焼効率を1%でも上げていけば、燃費が大きく変わってくるので、バイクメーカーならびに車メーカーは、燃焼効率改善にいつも取り組んでいます。
エンジンの効率は、熱や排気ガス、摩擦として逃げますが、逃げる熱を少なくすれば、燃焼効率も上げるのではないかと考えますが、これには無理があります。
熱を逃がさないエンジンの構造にすると、エンジンに熱が籠もり高温となり、混合気が自然発火して、エンジンとして使いものにならなくなります。
バイクは低速トルクをあまり必要としないので、多くの車種でショートストロークのエンジンを採用しています。